誤報?朝日新聞のコロナ報道「大須でも 名古屋で市中感染が拡大か」大須商店街連盟「感染と報道されたが該当者はいません」→事務局に取材してみた

政治・社会

 朝日新聞が25日に「錦三、栄、大須、新栄でも… 名古屋で市中感染が拡大か」と言うタイトルで報じた記事で名前が挙げられた"大須"の商店街連盟が27日、地区の加盟店舗に聞き取り調査したところ感染の該当者が見つからなかったという内容の案内を配布した。これを受けてネット上では「誤報ではないか」「風評被害だ」と指摘が相次ぎ加盟店舗からも抗議の声が上がっている。

クリックで拡大

 しかし、案内文書には「誤報」などと朝日新聞を批判する文言はない。当サイトでは、大須商店街連盟に取材を行いメールでの返答を得た。

商店街連盟の見解は?大須は大須でも・・・

 大須商店街連盟の事務局によると、ネット上にアップされている文書は朝日新聞の報道を受け調査した結果を加盟店舗向けに通知したものだという。

 大須とは名古屋市中区の地名であるが、一般的には大須2丁目〜3丁目付近のことで、若宮大通、伏見通、大須通、南大津通の四つの通りに囲まれた区域を指し、このエリアでは約1200店舗が営業している。朝日新聞の報道ではこのエリア以外も含まれる「大須」とだけ記載されていたが、ここを訪れる客のイメージでは「大須と言えば大須商店街」である。

錦三、栄、大須、新栄でも… 名古屋で市中感染が拡大か:朝日新聞デジタル
市中心部の繁華街・錦地区に加えて栄、大須、新栄3地区のバー、居酒屋、ヘアサロンなど三十数店舗で客や従業員の感染を確認したことが関係者への取材で分かった。

 この内容ではまず、大須商店街が感染を疑われ警戒されることと、商店街(2丁目、3丁目)の約1200店舗とそれ以外の地区を含めると広範囲の相当数の店舗が疑われてしまう。また、3地域で30数件の感染であれば大須商店街連盟の加盟店舗でも1件くらいはありそうなものだが、1件も確認できていないとなると朝日新聞の報道には疑問が残る。

 大須商店街連盟事務局に「朝日新聞の報道が誤解を生じさせたと思うか?」という聞いてみたところ以下のような回答があった。

商店街組合員のみを対象に聞き取り調査して感染の有無を確認しました。
報道は「大須」の広い範囲での地域表示でした。報道の判断、解釈することは各自の考え方と思いますので、商店街としましてはコメントできません。

 感染確認の店舗や特定住所を公開するかどうかの是非はあるが、朝日新聞の報道によって加盟店舗や利用客に不安が広がったことは間違いない。大須商店街連盟の調査は加盟店舗約450店舗への聞き取り調査のみであり、これをもって「大須で感染」が誤報とは断言できないが、混乱を招き風評被害を生じさせるものであることは間違いない。

 ネット上で指摘される「大須では発生していない」というのは、商店街連盟以外の非加盟店舗と商店街地区以外での発生も考えられるので言い過ぎている感はあるが、名古屋市の"大須"で市中感染の疑いと報道されると、真っ先に疑われるのは大須商店街である。
 他の地域でも風評被害を受けた店舗従業員が「店名公表してくれ」と大村知事に訴えているという。今の公表の仕方と関係者のリーク情報では全体が潰れてしまうという危機感があるようだ。

 同様の報道は中日新聞でも確認されたが、いずれも「関係者によると」という定番のリーク情報であり、こういった曖昧な情報で起こる風評被害について報道機関として少しは考えてもらいたいものだ。

関連:朝日新聞のコロナ記事に重大な疑義「取材は受けてない」西浦教授がツイッターで指摘、科学誌からの無断改変転載も
関連:朝日新聞記者らが取材対象を大声で怒鳴りつけ主張を認めるようコメント強要か?住民6名が告発状を提出、受理される

皆様の支援が必要です KSL-Live!からのお願い

【ご支援をお願いします】取材・調査・検証記事はコピペまとめサイトのような広告収入は期待できません。皆様からの支援が必要です。各種支援方法詳細

【運営・執筆】竹本てつじ【転載について

OFUSEで支援する

このサイトをフォローしよう