北海道新聞が旭川医大侵入記者逮捕で調査報告 キャップの指示は明らかでも新人記者に責任を押し付ける醜悪さ【マガジン110号】

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 旭川医大の看護学科棟に侵入した記者が職員に現行犯逮捕されていた問題で、逮捕された記者が所属する北海道新聞が社内調査報告を公開した。内容は醜悪そのもので、すべての責任を新人記者に押し付ける酷いものだった。
参考:旭医大取材の本紙記者逮捕 社内調査報告:北海道新聞 どうしん電子版

 事件発生当初はマスコミ関係者を中心に「正当な取材行為」と擁護する声もあったが、結果的に正当な取材行為ではなく上司から指示で侵入し捕まった時に身分をはぐらかすよう指示された悪質なものだった。現場にはキャップを含め他に3名の先輩記者が同行していたが、それでも指示系統は明らかにせず新人記者の経験不足として片付けられている。

キャップからの「潜入指示」は明らか

 北海道新聞の調査報告には、明らかに矛盾した経緯説明で新人記者に罪を被せようという意図を感じる。その中でも最も酷いのが以下の部分だ。

旭医大取材の本紙記者逮捕 社内調査報告:北海道新聞 どうしん電子版
 大学から通知を受け取った報道部では、現場取材の責任者(キャップ)ら3人の記者に通知をメールしましたが、現場に入社1年目の記者もいることを把握しておらず、この記者には送りませんでした。

 午後4時ごろ、キャップはこの記者に対し、校舎内に入って出席者が通る可能性のある2階付近の廊下で待つよう指示しました。

 キャップは、通知の後段にあった「入構禁止」の要請を見逃しており、「これまでも入構禁止になっていたが、慣例的に自由に立ち入って取材していたため、入らせた」としています。

 立ち入り禁止について「現場に入社1年目の記者もいることを把握しておらず、この記者には送りませんでした。」としながら10分後には「午後4時ごろ、キャップはこの記者に対し、校舎内に入って出席者が通る可能性のある2階付近の廊下で待つよう指示しました。」 と矛盾する説明をしている。キャップは新人記者が現場にいることを知らなかったはずが、10分後には校舎内に入るよう指示している。また、キャップが入構禁止の部分を見逃していたというのも怪しく、そうであるならば新人を潜入させる必要はない。明らかに入構禁止と知って、大学生に見える新人を侵入させる意図があったのだ。

無断録音ではなく指示による密録

 会議の内容を録音した行為について、新人記者による「無断録音」とされている。また、校舎内で見つかった際に「はぐらかすよう言われていた」とのことで、これはキャップによる密録を含む計画を新人記者が実行したようにしか見えない。

旭医大取材の本紙記者逮捕 社内調査報告:北海道新聞 どうしん電子版
 的確な指示がなかったため、記者は一部の先輩記者から聞いた体験談をもとに、自分の判断で会議内容をスマートフォンで無断録音していました。北海道新聞は取材のルールを記した「記者の指針」で、記者の倫理上、無断録音は原則しないと定めていますが、指導が徹底されていませんでした。

 職員に見つかった際も、すぐに北海道新聞記者と名乗り、取材目的であると告げるべきでしたが、動揺していたこともあって、できませんでした。キャップや別の記者から、校舎内で身分を聞かれても、はぐらかすように言われていたことも影響しました。

 身分を明らかにしないという指示をしていながら、これを正当な取材行為という事はできないだろう。また無断録音の定義についても、現場取材の常識からはかけ離れている。