支持率低迷でも立憲民主党に政権交代のチャンスあり?内閣支持率と政党支持率が参考にならない理由【マガジン124号】
菅総理が総裁選を見送り解散に踏み切るという情報が31日夜に流れた。結果的に菅総理本人が否定したわけであるが、本当にこれが実行されれば、悪夢の民主党政権誕生以来の政権交代の可能性すらある。
野党第一党の立憲民主党の支持率が絶望的に低いことでネット上では「政権交代はありえない」という声もあるが、これは良くある勘違いで、支持率を見て選挙情勢予測ができるわけではない。
2017年の衆院選では民進党の崩壊から希望の党騒動、排除され追い詰められた民主党政権残党が立憲民主党を結党したが、選挙前議席は立憲が15で希望が57であったが立憲は55議席と大躍進し希望も50議席を獲得する粘りを見せる。いずれも支持率5%に満たない新党であった。
一方で民主党の支持率が単独で16%程度あった2012年の衆院選では選挙前に230(消費増税で大量離脱)だった議席は57議席と壊滅状態となっている。これだけを見ても政党支持率と選挙結果は正確にリンクしないことがわかる。
政党支持率ではなく比例投票先
菅総理が暴走しない限り、立憲民主党が次期衆院選で政権交代できる可能性は極めて低い。
ただし、立憲が小選挙区に230程度しか擁立できていないので絶対に無理だという説は誤りで、ここに比例ブロック単独と国民民主党・社民党(ほぼ無力だけど)を加えれば理論上は可能となる。さらに躍進が予想される共産党を連立に入れれば政権交代可能なラインまで行けば、反共勢力も黙らざるえ終えない。衆参のねじれによって難しいところもあるが、首班指名を枝野一択にすることは普通に考えられる。
先日、枝野代表が「十分に政権が代わる可能性があるという結果が手元にある」と発言して失笑を買ったが、さすがに自民党総裁選によるメディアジャックがあるならば無理な話で信用に値しない調査だろう。ただし、自民党が安心できないのは、調査によっては比例投票先で自公の合計に共産党を含む野党共闘の合計が迫っているというデータがあるからだ。特に立憲民主党は支持率と比例投票先の数字に乖離があり、比例投票先で自民党に何倍も差をつけられるほど悪い数字は出ていない。
政党支持率が絶望的でも比例投票先でそれなりの支持を得ていれば、それなりの議席は獲得できる。冷静に考えれば立憲民主党の議席が最大差で自民党の10分の1になるようなことはありえないだろう。政党支持率というものは、働きぶりや執行部への批判もあって上下しやすい。例えば枝野代表は嫌いだが自分が住む小選挙区の議員は信頼しているという有権者も多く、単純に支持政党を尋ねられる政党支持率と違って、明確に次期衆院選での投票先を尋ねられる比例投票先の調査の方が現実に近いのだ。
9月13日追記:総裁選の影響か野党は投票先でも危険水域に 総裁選の効果絶大?衆院選の投票先「自民党52%、立民12%」野党は壊滅的な危険水域へ突入内閣支持率低下で政権交代は起きない?