NHK「外国人留学生に10万円支給」ミスリード記事をこっそり書き換え→日本人学生対象の給付金、生活費の仕送りを受ける学生は対象外

政治・社会



 NHKが10日に配信した記事をめぐり、岸田政権が外国人を優遇したという誤解が広がっている。

 NHKでは当初タイトルを水際対策緩和 入国も困窮の外国人留学生に10万円支給決定 政府』(魚拓)としていたが、これが日本人学生には支給されない外国人留学生のための制度という誤解を招いた。批判を受けて11日にはタイトルを経済的困窮の外国人留学生や日本の学生に10万円支給へ 政府に変更し本文も一部修正したが、訂正の告知もなく内容的にも正確でないままだ。

 そもそもNHKの記者が制度を理解していない可能性が高く、この緊急給付金が主に日本人学生を対象としたものであったことが記事で説明されていない。

日本人向けの制度、すでに三次推薦

 この緊急給付金は今回で三次推薦となっている。これまで日本人学生を対象としてきたが、外国人留学生もその対象に加えると政府が決定したというニュースなのだが、NHKの記者は全く理解をしていない。さらに、外国人留学生は裕福だという誤解もあるようだが、そもそもこの緊急給付金は単身者の最低生活費相当の年間150万円(月12.5万円)の仕送りを受けている学生は除外されている。

 文部科学省の説明を読んでも日本人学生が主な対象で、そこに外国人留学生も生活費の仕送りが無ければ申請を受け付けるという旨を付記したに過ぎない。
資料:学校関係者の皆様向けページ(学生等の学びを継続するための緊急給付金):文部科学省
追記:文科省が声明を発表「2022年3月10日に掲載されたNHKの記事について:文部科学省

NHK、こっそり書き換えるも理解せず

 NHKが、こっそりと書き換えた差分を見ても理解していないことが分かる。

旧文
水際対策の緩和に伴って入国した経済的に苦しい状況にある外国人留学生を支援しようと、政府は、1人当たり10万円を支給することを決めました。
新文
水際対策の緩和に伴って入国した外国人留学生や日本人の学生のうち経済的に苦しい状況にある人を支援しようと、政府は1人当たり10万円を支給することを決めました。

旧分

また、感染の長期化などで、厳しい状況となった大学や大学院、専門学校などの日本人の学生についても、1人当たり10万円を支給する緊急給付金の申請を受け付けることにしています。
新文
また、感染の長期化などで、厳しい状況となった大学や大学院、専門学校などの学生についても、1人当たり10万円を支給する緊急給付金の申請を受け付けることにしています。

 NHKの記者は外国人留学生ありきの給付金で、そこに日本人学生が追加されたと新たな勘違いをしているのだろうか。生活費相当の仕送りのある学生が対象外になっている重要部分も記載されていない。

留学生は裕福という偏見

 SNSを中心に外国人留学生は裕福だから支給は必要ないという意見が散見される。すでに解説済であるが仕送りで生活している学生は対象外であり、そもそも支給はされない。また、裕福だから留学するという誤解は日本特有のバブル時代の夢をまだ見ているのだろうか。

 当然ながら留学生を受け入れるのは日本だけではなく、日本人も高度な技術や知見を求めて海外に留学している。留学生をサポートできないような国に新たな人材は集まらず、受け入れを強化しない国の留学生を積極的に受け入れようという国も少ないだろう。日本の「受け入れ」と「送り出し」に対する予算配分が不均衡であるという指摘もあるが、途上国からの受け入れが先行投資であるという観点も持たなければならない。また、交換留学という概念も忘れてはならない。

 確かにお金持ちが子供を留学に出したがるというのもあるが、ほとんどが援助を受けて留学している。多くの方が懸念しているお金持ちへの支給はされず、あくまで生活困窮者が対象である。ここでいう生活困窮には、本来であればアルバイトをしながら勉強する予定だった学生が、コロナの影響で就業が困難、もしくは見込みより減収となった困窮ケースも含まれる。

 岸田総理が留学生を「日本の宝」と発言したことを批判する向きもあるが、なにも日本人学生を宝ではないと言ったわけでもなく、国益を考えれば留学生の受け入れは外交上も重要であることを念頭に置いた発言である。こういう誤解もあって今回の炎上劇となっているが、あくまでNHKの誤解と無理解による発信が元凶であることは認識しておくべきだ。

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【運営・執筆】竹本てつじ【転載について

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