フェイクニュースか?「ロシア政府、戦死者の遺族に11,000ルーブル(12,345円)しか払えない」まとめサイトを踏み台にした工作に注意

政治・社会



 ウクライナに軍事侵略をしたロシアが、ウクライナでの特別軍事作戦での戦死者に11,000ルーブル(1万2千円以下)しか支払わないという情報が、まとめサイトの『保守速報』や『ツイッター速報〜BreakingNews』によって拡散されている。
 これらはフェイクニュースである可能性が指摘されている。


ファクトチェックサイトでの検証

 この情報は、ベルリンを拠点とする東ヨーロッパの専門家がツイッターで拡散し、これが匿名掲示板サイト『5ちゃんねる』に転載され、まとめサイトがツイッターで拡散したもの。


 ウクライナのニュースチャンネルが、テレグラムを使って拡散したものであることは確認できたが、明確にロシア側が発信したという情報は得られなかった。当サイトのツイッターでソースを募ったところ、フォロワーから海外のファクトチェックサイトで検証されているとの情報が入った。

 キルギスの団体「factcheck.kg」によると、特別軍事作戦に参加する退役軍人に関する法律案が元になっているが、戦死者に関する補償については全く触れられていないという。

Кремль выплатит семьям погибших в Украине по 11 тысяч рублей? – Проверяем – Factcheck
ロシア国防省は、犠牲者の遺族に補償金を支払うのだろうか?
ロシア国防省が2022年に連邦予算から「2022年2月24日からウクライナ、ドネツク人民共和国、ルハンスク人民共和国の領土で行われる特別軍事作戦」の参加者への支払いに50億1000万ルーブルを使うことを提案していることが明らかになった。彼らは「退役軍人に関する法律」の改正に基づき、戦闘退役軍人としての地位と支払いを受けることになります。2月28日、新法案が緊急に公表された。

しかし、この法律案では、殺された人への補償額については全く触れられていない。
(中略)
結論:そんなことはない。ロシア国防省は、ウクライナで死亡したロシア兵の遺族に11,000ルーブルの補償金が支払われるとは明言していない。

 完全にフェイクニュースと断定されたわけではないが、ロシア側からこのような情報が発信されたという事実は確認できず、ウクライナ側から発信されていることを考えると事実とは考えにくい。

ウクライナ側のプロパガンダ

 ウクライナ侵攻開始前から、ロシア側のフェイクニュース流布が指摘されていたが、その一方でウクライナ側からも同様のプロパガンダ的なフェイクニュースが流れることが危惧されていた。

 今回の情報はウクライナ側のメディアが、ウクライナとの対応の差(1500万フリヴニャ、約2千万)を強調してロシア兵の戦意を削ぐ目的で流したものと考えられるが、逆にロシア側からフェイクを指摘されると「ウクライナを信じるな」という発信にも利用されかねない。

 ロシア側が軍の士気を下げるような情報を流すとは考えられず、こういった真偽不明な情報を鵜呑みして拡散することは結果的にロシアに利することになる。

まとめサイトを利用した工作

 今回のケースに当てはまるかどうかは別として、匿名掲示板などに意図的に誤情報を流す工作は十分に考えられる。信頼あるメディアがソースになっていても、とにかく刺激的なタイトルに改編して、短時間にコメントを付けていけばランキングサイトなどのまとめサイト作成ツールにピックアップされる。まとめサイトは自動化や外部委託していることが多く、運営者に自覚がないまま海外の工作に利用される危険性がある。

 ピックアップするコメントをロシア批判にしたとしても、タイトルしか読まないひとが多く趣旨が正しく理解されないことは多々ある。刺激的なタイトルはウクライナを嘲笑したものや、ロシアの攻勢を伝える大本営発表のようなものも散見される。

 ロシアが工作を仕掛けるにあたって、運営者に接触したり指示したりする必要はなく、ロシアに有利なスレッドを伸ばせば自動的にまとめサイトが拡散してくれるのだ。
 まとめサイトを踏み台にした工作は容易であり、警戒が必要だ。

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【運営・執筆】竹本てつじ【転載について

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