【動画】森まさこ法相の「震災で検察官が逃げた」民主党政権下で江田五月法相、小川敏夫法相が概ね事実を認めていた

政治・社会

【動画】森まさこ法相の「震災で検察官が逃げた」民主党政権下で江田五月法相、小川敏夫法相が概ね事実を認めていた

 森まさこ法務大臣による予算委員会での発言が問題となっている。
 森大臣は9日の参議院予算員会で「東日本大震災で検察官が最初に逃げ、身柄拘束者を理由なく釈放した」という発言を行い、後日の法務委員会でその真意を問われ「発言は事実」と答えたことで野党が反発。国会は審議拒否で空転が続き、森大臣の進退問題となっている。
 以下が9日の予算委員会での発言。

「例えば、東日本大震災のとき、検察官は、福島県いわき市から、国民が市民が避難していない中で、最初に逃げたわけです。そのときに身柄拘束をしている十数人の方を理由なく釈放して逃げたわけです。そういう災害のときも、大変な混乱が生じると思います」

 この件について、森大臣は民主党政権時代に野党議員として繰り返し歴代法務大臣を追及している。その当時の動画と議事録を確認すると、当時の江田五月法務大臣や小川敏夫法務大臣(現・立憲民主党)が釈放と釈放者の再犯事実を認めて謝罪していることが確認できる。
 以下の動画は2012年3月22日の法務委員会で森まさこ議員(当時)に追及される小川敏夫法務大臣(当時)、小川氏は現・立憲民主党だ。

民主党の歴代法務大臣が認め謝罪している

 2011年4月26日法務委員会の議事録より
 江田五月法務大臣(当時)が謝罪(この他に2011年6月16日の法務委員会でも同様に謝罪)

福島地検による被疑者の終局処分をしないままの釈放について、大変地域の皆さんにも御心配を掛けたことをこれは率直におわびをしなければならぬと思っております。

 2012年3月22日の法務委員会の議事録より
 小川敏夫法務大臣(当時)も謝罪している。(動画の質疑)

確かに検察庁が先に閉庁したということ、これにつきましては大変に国民の理解を到底得られないことであるということで、深く反省しております。これはもう既に私からも述べてあるところでございます。

 また震災の翌年に森氏が委員会で現地視察した際に、検察庁が釈放について反省する旨を証言したことが2012年2月23日の法務委員会で報告され議事録に残っている。

 問題は「検察官が逃げた」という部分が、実際は震災の影響で福島地検いわき支部での業務が困難となり庁舎を閉鎖、16日には郡山に活動拠点を移動したということ。釈放は3月11日から16日にかけて福島地検管内で行われており、これを「釈放して逃げた」と森氏は認識していたようだ。質疑でも「逃げた」という言葉を使っている。
 また「理由なく釈放」という部分は、当時の法務大臣は「勾留しておくのが難しい止むなき理由」というニュアンスで説明しているが、森氏はその釈放を「正当な理由なき釈放」という認識で疑っている。

 以下に、当時の議事録から森氏が野党時代にこの問題に言及し、大臣に質問した部分を抜粋し掲載する。2万字以上の膨大な量だが、この問題を考えるにあたり目を通しておく必要のある資料だろう。

第177回国会 参議院 法務委員会 第8号 平成23年4月26日

○森まさこ君 ありがとうございます。
 最後になりますけれども、福島県内において震災後、犯罪が多数発生しておりますが、福島地検の方で処分保留の釈放が増発されたということが指摘をされました。大臣の方は、やはり検察の信頼向上に努めるということを所信でもおっしゃっておられましたので、やはり震災後の治安悪化が心配される中、このようなことが二度とないように大臣の御決意を述べていただいて、それで私の質問を終わりにしたいと思います。

○国務大臣(江田五月君) 福島地検による被疑者の終局処分をしないままの釈放について、大変地域の皆さんにも御心配を掛けたことをこれは率直におわびをしなければならぬと思っております。
 ただ、その後の捜査については鋭意進めているところでございますが、そういうような、地震だ、津波だ、原発だという大変な中で余計なこういう心配を掛けるというようなことがないように、これはこれからもしっかりと検察の努力を督励してまいりたいと思います。
○森まさこ君 ありがとうございました。

第177回国会 参議院 法務委員会 第17号 平成23年6月16日

○森まさこ君 自由民主党の森まさこでございます。
 今回の相続の熟慮期間の延長でございますけれども、自民党としては従前より政府に申入れをしていたところでございますが、なかなか御対応いただけなかったものですから、国会では初めて私が六月七日のこの委員会で指摘をさせていただきまして、強く大臣の方に要請をいたしましたが、そのときには大臣からは否定的なお答えをいただきましたところでございますが、本日、議員立法で法案を出していただきまして本当に良かったと、被災地の議員として感謝をしております。
 法案の質問に入る前に、別件で法務大臣に一言苦言を申し上げたいことがございます。これは被災地の治安についてでございます。
 三月二十四日以降、何回か大臣の方に質問をさせていただいている被災地の治安でございますけれども、私、先日土曜日、六月十一日に大熊町に許可を得て入ってまいりまして、原発から一キロ以内まで立入調査をしてまいりましたが、その際、大熊町の一時帰宅の方々も入られておられました。バスに乗って入られておられましたけれども、お話を伺いましたら、盗難が非常に多いと。一時帰宅をしたときにそれを発見するということで、それについては随時被害届を出しているということでございましたので、私の方で警察庁に統計を求めましたところ、三月一日から五月三十一日までの統計しかまだないんですけれども、双葉署、南相馬署、田村署という、この原発の二十キロ以内に掛かっている警察署の三署の合計で、窃盗犯の発生件数が三百五十二件報告をされております。今全く人が住んでいない地域で既にもう三百五十二件の窃盗が報告をされているということでございます。
 私も震災後、二週間後の三月二十四日に大臣にこの点を指摘させていただきました。と申しますのも、私もいわき市に帰りました折、小名浜というところに、ら・ら・ミュウという魚市場があるんですけれども、津波に遭って壊滅いたしましたけれども、私、そこの状況を見に行きましたら、シャッターが壊れていたんですが、そのシャッターの壊れているすき間から人が出てきたので、私はてっきりこの魚市場の経営者の方が自分の店の被災状況を見に来たのかと思って、あの、お店は大丈夫でしたかと駆け寄ったら、手に持っていた缶詰を戻して逃げていったということがありました。中にはレジ等もあったと思いますので、私はすぐ警察の方に届けましたけれども、なかなかこれが人数が少なくて警備もできませんというような、以後気を付けますというようなお答えをいただいていたんですが、三月二十四日の法務委員会で、そのとき警察庁とそれから法務大臣にこの件について御意見をいただいて、そのとき法務大臣は、「被災地域であっても犯罪が起きないように、治安が守られるように、これは大変大切なことでございますので、責任を持って対処していきたいと思います。」とお答えをいただきました。
 ところが、その後の報道で、福島地検の管内で被疑者を三十一人も処分保留のまま釈放したことが判明したんです。その釈放された容疑者の中には、暴力団組員も含まれていたことが発覚しました。釈放されたのは三月十一日から十六日の間であり、私の質問は三月二十四日ですから、質問をしたときにはもう既にその三十一人が処分保留のまま釈放されていた。そのときに、法務大臣が先ほどのような頑張りますという答弁をいただいていて、地元での不安感を思うと地検の対応について私は大変疑問を感じますし、こういった盗難が先ほどのような件数が報告をされているということを考えますと、犯罪者に誤ったメッセージを与えたのではないかというふうに大変危惧をしております。
 三月二十四日の質問の後、三月三十一日には検察の在り方検討会議からの提言が出され、検察の信頼回復に向けて取組を始めようということが報告をされました。ただ、このような福島地検の対応を考えますと、検察改革を進めていけるのか、大変疑問に感じます。
 この検察の在り方検討会議は千葉景子元大臣が座長でありまして、村木厚子さんの冤罪事件の検察特捜検事によるフロッピーディスク改ざん事件、これを契機につくられた在り方検討会議ではありますけれども、これについて、やはりこの冤罪事件のもととなったフロッピーディスクの改ざん、これを特捜の部長が証拠隠滅した当時の大臣が座長であるということで、人選が大変疑問であるということも私から柳田当時の法務大臣に意見を申し上げていたところではございます。そのような三十一日の報告書がなされても、福島県においては被疑者釈放がなされていたということで、本当に検察が改革をしていけるのか。これについては、警察の方がこの釈放について、逮捕した警察の方に十分な相談がなかったというふうに、この検察幹部の自分の判断が間違っていないか批判的に見詰める真摯な姿勢、これがないということは、この村木厚子さんの事件と同じ問題を組織的に抱えているんではないかということを指摘をしています。
 福島県内で釈放された三十一件の中には窃盗が十三件含まれておりまして、それ以外に強制わいせつ犯の釈放もありました。これは独り暮らしの女性の寝込みを襲って手錠で羽交い締めにしてわいせつ行為を続けた計画犯でございますけれども、こういった被疑者に対して、留置場等が大変混乱しているというような、そういう理由で簡単に釈放してしまったということで、被害の女性は再び被害に遭うのではという恐怖で大変おびえたという報道がされております。また、釈放されたうちの一人はその後また再犯をすぐに起こしたということも報告されております。すぐにコンビニの事務室に侵入し、建造物侵入容疑で再び捕まったということでございます。
 法務省は中村福島地検検事正を五月十六日に交代をさせるということを、更迭をしたようでございますが、トップを変えただけでこのような組織内の体質が改善されるのかどうか、大変疑問でございます。それどころか、福島地検のいわき支部はこの問題が行われた後、何と三月十六日以降、庁舎を閉鎖し、福島地検郡山支部で業務をしておりました。その理由は関係者を呼び出して取り調べるのが困難となったというふうに言っておりますけれども、警察の方は動いております。警察、いわきの中央署では原発地域の双葉地方で逮捕された被疑者もそちらの方で引き取って捜査を続けておりましたけれども、地検の方はいわき支部を閉鎖して郡山で業務をし、さらにその後、四月になりましたら、検察官五人は転出して、残る検察官は支部長と副検事の二人のみとしたということで、四月からはずっと二人しか検察官がいわき管内にいませんでした。
 いわき市というのは二十キロよりも外でございまして、特に避難区域ではありません。普通に住民が住んでおります。さらに双葉地域の被疑者がいわき市内に勾留されていると、そういう状況の中で検察が数を減らすということで大変治安と住民に与えた不安というのは大きかったというふうに思います。
 五月九日になって、やっと検事一名、副検事二名の三名が補充になりまして、現在五名体制ですけれども、従前の七名体制よりもまだ少ない体制が取られております。通常であれば被災地は増員しなければならないような状況の中で、なぜこのように人員を減らすのか。私は、三月二十四日に治安について責任を持って取り組みますと法務大臣がおっしゃったことに逆行するようなことが行われているのではないかというふうに思いますけれども、法務大臣の御見解をお聞かせください。

○国務大臣(江田五月君) 多岐にわたる問題点を御指摘いただきました。それぞれ検察の判断、法務当局の判断というのもございますが、全体として見て、地域の皆さんにいろんな御心配をお掛けをしたということは大変申し訳なく思っております。
 決して、何かその場のその場しのぎで治安のために頑張るということを言ったわけではありませんが、現実に今、例えば検察官が一時いなかったとき、あるいは二名であったときがあるというような御指摘もございまして、これからも間違いのないように頑張ってまいりたいと思っております。
○森まさこ君 法務大臣は、福島地検が先ほどの三十一人の釈放をしたときに、釈放をした理由、これは、別の刑事施設に移送する余裕がなかったので釈放の理由は十分にあったと思っているというふうに答弁されておりますけれども、今でも釈放の理由は十分であったというふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(江田五月君) 個別に、それぞれの事案ごとに勾留の理由、勾留の必要性を判断して、あるいはその地域の状況、捜査の状況などを判断して検察官が釈放の指揮をして、その指揮自体が違法であるということにはなっていないと。これは今もそう思っておりますが、全体として、関係機関との協議が十分でなかったこともあるとか、あるいは地域の皆さんに不安を与えたことも事実でございまして、全体状況としては、これは申し訳なく思っていると言わざるを得ません。
○森まさこ君 申し訳なく思っているという御答弁でございますけれども、この釈放の問題のその後に検察官の数が減らされております。
 私は、震災直後の三月二十四日のこの委員会で、法務大臣の質問の前に、警察庁に被災地の治安はどうなんですかというふうにお聞きしたときに、警察庁は、基本的には大きな問題は起きていません、むしろ件数自体は減少しています、不審者を見たという一一〇番が実際に多くを占めています、それで、その都度警察官が現場に向かって確認をするんでございますが、実際にはほとんど不審事案ではございません、そのような、現場と全く違った答弁をしているんです。
 警察がこのような認識で、さらに検察の方がどんどん釈放をして、さらに検事の数も減らしていて、被災地の治安はどうやって守れるんでしょうか。福島県は、地震、津波、そして原発事故、風評被害と、四重被害を背負って、それでも頑張って暮らしています。そこで治安も守ってもらえなかったら、本当に住民は安心して復旧復興に向かって進んでいけないんですね。
 先ほど、本当に不審事案ではございませんというような警察庁のお答えが当時ありましたけれども、その三月当時は警戒区域でございませんので、立入禁止ではございますが、許可を得て御遺族の遺体捜索に入る者、家畜に餌をあげに行く者、住民が出入りをしていました。そのときには入口は何も警備をされていないし、擦れ違うトラックが県外のナンバーで、その荷台にいっぱいテレビやエアコンの室外機が積まれていくと、そういったことがボランティアさんからも報告をされています。
 このような警備の薄さ、そして検察官も数を減らすということでは、やはりこれは先ほどのような窃盗件数、これが、一時帰宅がこれからどんどん進んでいって町内の方に入っていきますが、もっと多くなると言われています。その盗まれた住民の財産は政府の無策によって盗まれてしまったと言っても過言ではないというふうに思うんですけれども、法務大臣、そこのところは責任を感じていらっしゃいますか。

○国務大臣(江田五月君) 一々のことについてあれこれ弁解はしたくありませんので、本当に申し訳なく思っているとしか言いようがございません。
 ただ、確かにいろんな事例があると思います。思いますが、現場で努力をしている警察の皆さんも、私どもはいろんな苦労をしながら警察も頑張っているというふうに聞いていますので、そこはひとつ、警察の御苦労、御努力がどういうものであるかというのは警察の方に是非聞いていただきたいと思いますし、また、検察というのは一般的には警察から送致を受けて活動するわけで、送致を受けた事件数でいえば、今現在のところ、いわき支部は五名体制でやっておりまして、その体制で事件処理ができる体制になっておりまして、この後更に事件が増えてくる、あるいはまた一時的に必要があるということがあればそれはちゃんと対応していきたいと思います。
 本当に御心配を掛けていることは申し訳なく思っております。
○森まさこ君 今大臣から改善策について御答弁いただきましたので、しっかりとお願いをしたいと思います。

第179回国会 参議院 法務委員会 第2号 平成23年10月27日

○森まさこ君 その点が大臣、所信表明の中に入っておりませんでしたけれども、議事録を見たということであればこの場で御説明いただきたいと思いますが、震災直後に法務省管轄の検察がどのような行動を取ったか、述べてください。
○国務大臣(平岡秀夫君) 多分、森委員御指摘の点は、検察庁のいわき支部が震災直後に、これはまあいろいろな事情があったと思いますけれども、裁判所が移動するに伴って活動の拠点を郡山の方に移動させたと。その後、また二週間弱ぐらいたってでしょうか、戻ってきて活動をしたというようなことがあったと。その中には、勾留されていた被疑者についてこれを釈放したというような事実も伴っていたというようなことについて委員の方からいろいろな御指摘があり、それに対して江田大臣の方からも、ある意味では行き届かなかったところについての自分の反省すべき、検察としても反省すべき点についても言及をされているというふうに承知しております。
○森まさこ君 今のことを私から詳しく説明を申し上げますと、震災後、いわき市の福島地検いわき支部、それから地裁いわき支部も、ちょっと時を異にしておりますが、十五日、十六日に次々と庁舎を閉めて、十六日には郡山の方に移動してしまったということがあったんです。そして、それに先立ち、地検では勾留をしていた被疑者を全員釈放する、処分しないで釈放するということがあり、その中には女性の家に押し入って手錠をはめて性的犯罪を犯すという、そういう容疑者もおりましたし、釈放されたうちの被疑者がまた再犯を起こしたということも起こりました。
 あの当時、いわき市は避難地域でありませんでした。三十キロまでが屋内退避です。一部三十キロに入っておりますが、警戒区域ではありませんから、いわき市の北部の少しだけが屋内退避、それ以外全ていわき市は何の避難区域にも、政府の言う避難区域に入っていないんですよ。そこにいなさいという指示です。ガソリンも何もなくて、自分で避難したいと思う人さえ避難できなかった。今お昼休みに、福島県の方々、双葉郡、いわき市の方に会ってきましたけれども、その当時の状況を話すと今でももう泣いてしまって、地獄のようだった。その中に大変な犯罪が多数起きているんですよ。
 私が三月二十四日に質問したときには、警察庁は、特にそんな犯罪は増加しておりませんし、ちゃんと警戒していますというような答弁でしたけれども、今になって、十月十六日の朝日新聞に書いてありますけれども、九月末までの住宅の被害は前年同期の三十倍近くに達していて、五十軒に一軒が被害に遭った。被害者からはこれは避難せよということが原因なんだからということで東電に賠償を求めておりますが、東電は悪いのは泥棒だとして一切賠償には応じていないんですよ。これは財産犯罪だけの話ですけれども、先ほどのような性犯罪も起きて、避難所に婦人警官が私服で泊まり込むということもありました。
 その中で、国民に対して避難指示が出ていないのに、国の機関が先に避難したというのはどういうことなんですか。大臣、お答えください。

○国務大臣(平岡秀夫君) 今委員がるるお話しになったのは、特に原発事故の関連でお話しになったというふうに存じ上げますけれども、先ほど、福島地検いわき支部の移転の状況というのは、この支部管内において死者、行方不明者が多数に上り、建物等にも甚大な被害が及ぶとともに、水道などのライフラインも途絶えた状況にあって、さらに余震も相次ぐという状況の中で、このいわき市内の支部庁舎に関係者を呼び出して取調べを行うことが事実上困難になるというようなことで、いわき市内の庁舎での執務遂行が大きな支障が生じるようになったということが大きな避難の原因であったというふうに思います。
 そのような状況の中で、福島地裁の方から地裁のいわき支部の執務場所を変更したい旨の申出を受け、協議をしたようでございますけれども、地裁いわき支部の執務場所の変更に合わせて地検のいわき支部の執務場所を一時的に変更をしたというふうに報告を受けているところでございます。
 なお、後段の方で、いろいろな盗難の被害、あるいは性犯罪を警戒するための種々の活動という問題についてもお触れになりましたけれども、こうした問題、我々としてもあってはならないことだというふうに思います。これは法務省の行政だけでできる話ではございませんで、関係当局とも協力をしながら、こうした問題についても適切に対応してまいるように努力してまいりたいというふうに思います。
○森まさこ君 大臣が述べた理由は江田大臣が述べた理由と全く同じです。まあ官僚が書いた紙だと思いますけれども。余震が多くて断水だったのは住民も同じなんですよ。住民はみんなそこにいるんですよ。そして警察は働いていたんですよ。警察はもう次々に来る犯罪に対応していたんですよ。
 私もこの委員会で言ったけれども、またこうやって何回も言うのが、大臣が替わるから何回も言わなきゃならないのが悔しいですけれども、私が被災地を回っているときにも、その辺でいっぱい泥棒がうろうろしているんですよ。人がいないところに、空き家に入って何かいろいろ持って出てくるとか。私はすぐ通報したけれども、もう警察もいっぱいで、検察も裁判所もいない。これを逮捕状を取ろうと思っても、裁判官のところに行かなきゃいけないでしょう。
 法務大臣、逮捕状を取るのにファクスでできるんですか。

○国務大臣(平岡秀夫君) ちょっと今最後のところが、逮捕状を取るのに……
○森まさこ君 ファクスで
○国務大臣(平岡秀夫君) ファクスで。ファクスで取れるのかと。
 ちょっと私もファクスで取ったことはありませんけれども、実務に詳しい人の話によれば、ファクスでは取れないということのようでございます。
○森まさこ君 ファクスでなんか取れないんですよ。裁判官のところまで行って面談して、ちゃんと理由を述べて逮捕状をいただいてくるんです。ガソリンがないいわき市から郡山までどうやって逮捕状を取りに行くんですか。しかも、余震があるとか断水があるとか、容疑者を呼んで取調べするのが難しいというのは、容疑者を釈放する理由には全然なりませんよ。何でそれを勝手に、この混乱した町の中に釈放しちゃうんですか、ちゃんとした取調べもしないで。
 そのことについて私は何回も質問をしたんですけれども、一回目の質問のときに江田大臣はこのことを隠していたんです。私が三月二十四日に質問をして、とても治安が悪いから、私は行って見てきたんだけれども、悪いから、これについてはきちっと裁判所、検察官やってくださいねと言ったら、頑張りますというような答弁だったんです。ところが、三月二十四日に私が質問した時点では、裁判所も検察官も逃げていたんじゃないですか。いなかったんですよ。そのことが新聞で暴露されてからまた私がこの委員会で質問したら、江田大臣は、一々釈明することはできない、申し訳ございませんと謝っただけなんですけれども、謝っただけでは足りないんですよ。
 これに対してどのような対処をして、これからのこともあります、また同じような災害があったときに、ほかの地域でもまた裁判所と地検が逃げてしまうんですか、国が避難命令を出してない地域で。ほかの国の機関もたくさんありますけれども、全部逃げないでやっていましたよ。裁判所と検察庁だけですよ、逃げたの。一番法を守らなきゃいけない国家機関が。
 これに対して、大臣は通達か何かお出しになったんですか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 先ほど来からの御指摘、真剣に受け止めてまいりたいと思いますけれども、委員も御案内のように、検察庁は、検察庁法第二条によって裁判所と対応してその事務を行うこととされているという中で、福島地裁のいわき支部の執行場所について、先ほど私が申し上げたような事情の中で協議をした結果として移動をしたということでございます。そのことの適否については、委員の御指摘しっかりと受け止めて、どうあるべきであったのかということについては私もしっかりと検証していきたいというふうに思います。
○森まさこ君 最初に三月に指摘して、今はもう七か月たって、十月の時点でまたこれから検証しますなんという答弁をいただいても全く納得できないんですよ。
 大臣、検察は裁判所が一緒にやるから、裁判所が移動したら移動するとおっしゃった。だけど、警察は残っていて検察が郡山にいたら、ガソリンもなくて行けないんですから、送致できないんですよね。そうしたら、いろんな被疑者が来たって警察はもうろくにやっぱり取調べもできないんですよ。
 実際に、結果として、警戒区域で空き巣被害が前年度の三十倍。私が三月に指摘したときには大丈夫ですなんて答えていましたけれども、結果はこのような被害が出て、みんな泣いています。警戒区域の皆さんは、帰れない家に一時帰宅で帰ったら、ガラスが割られて泥棒が入って、大切な結婚指輪が取られて、金庫が破られて、その横で猫が腹を裂かれて死んでいたとか、そういうものを見て、それでもたった二時間ぐらいしかいられない、大切なものだけ持ってきてくださいなんて言われて、家の修理もできずに、また二回目行ったら、二回目また違う泥棒が入って、放射能に汚染された靴で土足で入って、もう汚くしていた、そういう悲しい目に遭っているんですよ。全部これ新聞記事に書いてあります、読んでいらっしゃらないと思いますけれどもね。
 この財産的被害に関して、私は東電に責任があると思いますけれども、先ほどのような体制のありようを考えると国にも責任があると思います。法務大臣、どうお考えになりますか。

○国務大臣(平岡秀夫君) いろんな被害が発生しているということに対しては、検察官の会議、会同というふうに呼んでいるようでありますけれども、そこにおいても、被災地の混乱に乗じた犯罪に対しては、引き続き、警察当局等の関係機関との緊密な連携の下、迅速かつ適正な処分を行うよう努め、被災地における治安の確保や法秩序の維持に万全を尽くすべきだということの指示が出されているというふうに承知をしておるところでございます。
 その財産的被害についての責任というのは、それなりの因果関係等の法律的な位置付けがはっきりしない以上は、私の方から今申し上げられる状況ではございません。
○森まさこ君 平岡大臣の答弁は本当にはっきりしなくて残念です。昨日も、おとといですか、衆議院の法務委員会で稲田朋美議員が、先ほどから平岡大臣の答弁をずっと聞いておりまして、野党時代のあの生き生きとした平岡大臣は一体どこに行ってしまったんですか、もう別人と述べています。是非、大臣、野党時代の大臣の生き生きとしたお姿、私は存じ上げませんけれども、後で動画で見たいと思いますが、そのときのようにしっかりと、きちんと答えていただきたいということを御要望申し上げます。

第179回国会 参議院 法務委員会 第4号 平成23年11月24日

○森まさこ君 それでは、次の質問に移りますけれども、何度もこの委員会で質問をさせていただきまして、前の大臣のときから質問をさせていただいておりますけれども、福島地検のいわき支部が震災直後に退避した問題でございます。
 今回、この法案は、刑務所出所者、これを刑を一部執行猶予して、今まで三年間であったものを二年間の懲役にして、あとは社会内に出すと、社会内に処遇するということで、その法の立法趣旨というのは何なんですか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 先ほども質問の中でお答えしておりましたけれども、初入者あるいは薬物犯罪の関係について言えば、刑務所の中で処遇した後、やっぱり社会内における処遇というものが再犯防止あるいは改善更生につながっていくという視点から、一部執行猶予という形で、執行猶予期間の中においていろいろな処遇プログラムというふうなものを必要に応じて用意することによって社会復帰を果たしていくということを目指したものだと、主な目的としたものだというふうに理解をしております。
○森まさこ君 今大臣は、この法の立法趣旨は再犯防止とおっしゃいました。再犯というのは犯罪を犯した者がもう一度犯罪を犯すことでございますけれども、私はもうその言葉を聞いて本当に憤りを覚えるわけです。
 つまり、被災地で震災直後に福島地検が勝手に被疑者を多数釈放して再犯が行われたんですよ。そのことについて、何回も質問していますけれども、きちっと反省もしないで、きちっと総括もしないで、処分もしない、今後どうするかも答えないで、再犯者を自分で出しておきながら法務省は再犯防止のための新法を出しますとぬけぬけと言うことに対して、私たち、日々被災地の治安悪化におびえながら、このようなことを国家機関にされた被災地の人間としては憤りを覚えるんです。
 本日、皆様のお手元に資料をお配りしております。資料の二枚目ですけれども、これは震災直後に福島地検いわき支部が、いわき市は避難地域でもないのに市民を置き去りにして国家機関である検察庁が先に逃げて、その前提として被疑者を釈放したというその件数でございます。
 いわき支部で十二名釈放されておりますが、これはいつ釈放したんですか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 釈放をした期日は、三月十四日月曜日に被疑者の釈放を開始したというふうに承知をしております。
○森まさこ君 なぜ釈放したんですか。
○国務大臣(平岡秀夫君) 釈放をした理由という点について言えば──失礼しました、先ほどの釈放の件でありますけれども、いわき支部については十五日からということでございます。私が申し上げたのは福島地検の本庁において釈放したのが十四日ということで、訂正させていただきたいというふうに思います。
 そして、被疑者釈放についてでありますけれども、被疑者の身体の安全の確保等に配慮しながら、個々の事案の内容や捜査の進捗状況等を鑑みて身柄拘束を継続する必要性がないと各検察官が判断した者について釈放をしたということでございます。
○森まさこ君 ほとんど全部釈放したんでしょう。今の理由は何ですか、紙を読んだだけで、形式的なことを言って。前もそうですけれども、だから大臣の答弁は誠意がないというんですよ。
 この中で、いろんなこれ罪名が書いてありますね。建造物侵入は本庁ですけれども、いわき支部、強制わいせつが一人ですよ。この方、本当に今おっしゃったような事情を見て処分未了のまま釈放する理由があったんですか。女性を手錠をはめて性行為に及んだという、そういう方ですね。それから、傷害二名、重い罪じゃないですか。窃盗が四件ある。道路交通違反が一件、覚せい剤取締法違反は四件ですね。
 このうち再犯を犯した者がいますね。どの罪名の方ですか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 先ほど委員が全員釈放したのではないかというお話がありましたけれども、いわき支部につきましては被疑者十六名のうち十二名について釈放したと。そして、二名については被疑者として釈放しましたけれども、別件の起訴後勾留を継続をしたということでございます。
 先ほど、再犯に及んだ者は誰なのかということのお話が、どの部分なのかというお話がございました。いわき支部においては、覚せい剤取締法違反の者が一人ということでございます。
○森まさこ君 その覚せい剤取締法違反の方はどのような再犯を犯したんですか。その再犯の罪名です。
○国務大臣(平岡秀夫君) 釈放後に覚せい剤を自己使用、所持したというふうに承知しております。
○森まさこ君 今日出されている法案も薬物犯罪犯した方についてその再犯を防止するためにという御立派なことを言われておりますけれども、検察庁そのものがこのような治安を悪化するようなことを震災後に、私、先ほどほとんど全員じゃないですかと言いましたけど、十六名のうち十二名を十五日に釈放して、そのまま自分たちも庁舎を閉めて郡山まで逃げたんですよ。
 郡山までいわき市から車で通常であれば約一時間ですけれども、そのときにいわき市の中はもうガソリンもない、マイカーがあっても、自分たちは避難したくても避難できない状態で、水もなく、食料もなく、治安が悪化してたくさん泥棒がいたんですよ。
 私、昨日かな、いわき市のら・ら・ミュウという物産館が津波でめちゃくちゃに壊れたんですけれども、やっとリニューアルオープンしたのでその式に行ってきましたが、その当時、震災直後、私、ら・ら・ミュウに行ってみましたら、震災で壊れているから中に出入り自由なんですよ、金庫でも何でも。そこにたくさん泥棒がいて、私はすぐ警察に通報したけれども、もう警察も手いっぱいでどうしようもない。そんな状態の中で検察がいなくなっちゃったんですよ。送検できないんですよ、警察は残っていたんですから。何で国家機関が避難地域に指定していないところから逃げる。その逃げるために、邪魔だから被疑者を釈放したんじゃないですか。
 この問題について何回も質問していますけれども、大臣の前回の答弁は、何でこれを避難をした、地検が避難をしたかというのは、余震が多くて断水だったからなんと言っていますけれども、余震が多くて断水なのは住民も同じなんです。住民はそのときに避難させてもらっていないんですね。これに対して私は大臣のきちんとした答弁をいただきたい。どういう理由で庁舎を移したのか、そして、そのことについて今どのように評価をして、どういう関係者の処分をして、今後どのようにするという指示を出したのか、しっかりと御答弁をいただきたいと思います。

○国務大臣(平岡秀夫君) 福島地検のいわき支部が一時的に閉庁した経緯については、これもたしか御答弁申し上げたような記憶はありますけれども、検察庁法第二条によりまして検察庁は裁判所と対応してその事務を行うこととされているのでありますけれども、福島地裁から一時的に地裁のいわき支部の執務場所を変更したいという申出を受けまして、それを受けた後の協議した結果として、地裁いわき支部の執務場所の変更に合わせて地検いわき支部の執務場所を一時的に変更したというふうに承知をしております。
 そういう状況ではありますけれども、今委員が言われたように、執務場所を一時変更するに当たっては、関係機関との連絡調整、これは上級庁あるいは警察等との関係でありますけれども、必ずしも十分な緊密な連携が取れていなかった懸念もあるわけでございまして、その点については私の方からも、震災後の混乱に乗ずるような犯罪については厳正に対処をするとともに、今回の経験を生かして非常時の危機管理に万全を期していただくよう、検察長官会同等においても訓示を出させていただいたということでございます。
○森まさこ君 検察庁法二条を今お示しになりましたけれども、裁判所に対応してその執務を行うと書いてある、こんなことは理由になりませんよ。裁判所に対応してやるからといって、裁判所が逃げたらくっついていくんですか。検察の仕事は何なんですか、捜査を行うことじゃないんですか。そのときもういわき支部で捜査を行えないじゃないですか。検察庁法二条に本当にこれが該当する事例だとお思いですか。
○国務大臣(平岡秀夫君) 検察庁法二条には、それぞれの検察庁というのは各地方裁判所等に対応して置くという仕組みにはなっておるわけでございますけれども、今委員は捜査の関係のことも言われました。
 捜査の関係については、特に釈放の問題でこれまでもるる御指摘があったわけでございますけれども、捜査の進め方、あるいはどこまで捜査ができるのか、いつごろまでに何ができるのか、そのような判断も当時はさせていただいてこのような対応をさせていただいたというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、結果として地域住民の皆さんに不安を与えてしまったということでございます。そこの点については遺憾に思い、残念に思っているところでございます。
○森まさこ君 時間ですので、また午後に譲ります。
○森まさこ君 自民党の森まさこでございます。午前に引き続き、質問をさせていただきます。
 民主党の委員の方が遅れていらっしゃいましたので、私の質問、二分ほど遅れてスタートさせていただきますけれども、午前中の大臣の答弁を聞いて私のところにたくさん反響がありました。何を言っているか分からないと、真面目さが感じられないということでした。
 残念ながら、被災地で避難区域に政府が指定をしていないのに国家機関が住民を置き去りにして逃げた、その前提として多くの被疑者を処分保留のまま釈放したということについて、大臣がこれは真正面から、それはもう間違ったことをしたんだと、厳正に処分すると、責任者の誰これをこういう処分をしますと、そして今後は具体的にそういうことが繰り返されないようにこういう対策を立てますとはっきり言っていただければ、私たち被災地の者も、また同じことをされるんじゃないか、被災地は見捨てられるんじゃないか、そういう不安を抱かずに済むんです。
 今でも警戒区域内で治安が悪化している状況の中で、このことは苦言を申し上げておきます。大臣にリーダーシップがないと思います。くしくも、今手元に来ました世論調査では、内閣の支持率が低下して、支持をしないが支持をするを初めて上回ったと。その理由は、総理は人柄が良さそうだが、リーダーシップがないということでございます。平岡大臣は、人柄は存じ上げませんが、リーダーシップがないということを申し上げておきたいと思います。

第179回国会 参議院 法務委員会 第6号 平成23年12月1日

○森まさこ君 なぜこんなような質問をしたかと申しますと、震災後、入所者が当初の予定より早く外に出されているんですよね。前回、いわきの検察も、十二人ですか、処分保留で釈放しちゃって、またそこから再犯者が出て、地域住民はもう本当に大変なショックを受けたわけなんですがね。別に釈放をするなと言っているんじゃないんですけど、十二人も一遍にというのは大変多いし、その理由も、そのときに庁舎が別に使えなかったわけでもなく、避難地域でもなかったということで、私、いわき市のことは大変遺憾に思っているんですが、この福島の自立更生支援センターも、震災直後に、そこにいた入所者を全員釈放しているんですよね。それなので、予定より早く釈放しているんですよね、全員。その理由は何なのか。そして、予定より早く釈放をした人が先ほどの再犯をした人なのかということを確認したいと思います。御答弁お願いします。
○国務大臣(平岡秀夫君) まず、後者の方の御質問にお答えしたいと思いますけれども、この仮釈放者、三名でありましたけれども、その者については再犯ということはございません。その上に立って、どういう状況であったのかということについて御説明を申し上げたいというふうに思います。
 東日本大震災発生時には、このセンターには仮釈放者が三名ほど入所しておりました。震災によりましてセンターの壁の一部が崩落をしたり、あるいはガス、水道等のライフラインが休止したことから、三月の中旬に、うち一名を安否が判明した親族の家に転居させる、そして二人については近県の更生保護施設に転居させて、それぞれ保護観察を継続したものというふうに承知しております。
 転居させるに当たりましては、この促進センターに宿泊すべき期間を定めた特別遵守事項の変更及び転居の許可については所定の手続を行った上で転居をさせておりまして、手続上の問題についてはなかったというふうに承知をしているところでございます。
 その後の状況としては、いずれも本来の期間というもの、退所予定日については、しっかりとそこまで保護観察が継続されていたということでありますので、特に問題は発生していなかったというふうに承知しております。
○森まさこ君 ありがとうございます。
 先ほどの再犯の方に関する報道がこの八月三十日にあったものですから、ちょうど三か月前で、震災から五か月後なので、震災直後に出た方が再犯したのかなというふうに住民の方は思っているわけなんですよ。そこを大臣が今そうじゃないんだということを言っていただいたので、それは分かりました。
 ただ、この福島市というのは避難地域でありませんし、当初、一時的にガス、水道が止まったのは皆さん、住民、一緒なんですね。それでなぜ決まっている退所期間よりも早く出してしまうのかなというのは疑問があります。
 この退所時期というのは決まっているわけですよね。そして、それを変更する手続には問題なかったとおっしゃいましたけれども、決める方は誰で、そしてその変更手続というのはどういうふうになされるんですか。

○国務大臣(平岡秀夫君) 先ほどの特別遵守事項の変更、転居の許可についての手続については、保護観察所長が決定権を持って実施したということでございます。
○森まさこ君 保護観察所長が変更についても決めるということですか、答弁ください。
○国務大臣(平岡秀夫君) 御質問のとおりでございます。
○森まさこ君 先ほどのいわき市の検察の問題もそうですし、この問題もそうなんですが、災害時はこういう問題に直面するものだと思います。ただ、これ、逮捕された者や刑務所を出所された方が災害時にいろいろな状況によってまた社会内に出るというときに、やっぱりそこもきちっと社会が受け入れていけるような工夫が必要なんじゃないかなと。やはり、通常の住民も大変混乱している中ですので、その中で再犯が犯されたり治安が悪化することがないように、今後その部分は検討していただきたいと思うんです。
 そのために、前回も質問しましたけれども、地方検察庁のいわき支部が震災直後に避難地域でないのに郡山に移転をして、移転をする前提にその十二人の方を処分保留で釈放してしまったということについて、何らかの責任者の処分をなされたのか、そして、今後そのようなことが起きないように、その中の方が一名再犯を犯されたということですけれども、そういうことがないようにどのような指示なりを大臣がなされたのか、お答えください。

○国務大臣(平岡秀夫君) 先ほどちょっと私の答弁、訂正させていただければと思うんですけれども、特別遵守事項の変更というのは、所長が決定するのではなくて、保護観察所長が申し出て、地方更生保護委員会が決定をするということでございますので、そこの点だけちょっと訂正させていただきたいというふうに思います。
 そこで、今、福島地検のいわき支部の閉庁の問題についてでございますけれども、この問題についての状況というのはこの委員会でも御説明したとおりでございます。いろいろと住民の皆さんに不安を与えてしまったり、あるいは再犯が起こってしまったりというようなことに対しては我々としても大変残念であったというふうに思っておりまして、これについては皆さん方にもいろんな御不信の念を抱かせたということで残念であったというふうに思っておるところでございます。
 そこで、処分のお話でございますけれども、これもるる御説明申し上げたような事情で閉庁あるいは釈放ということをしたわけでございます。事情を聞いてみればそれぞれ相応の理由があったというようなことで、職務上の義務に違反したとまでは認められないということで、国家公務員法上の処分を行うということは行っておりません。
 しかしながら、この点については、先ほど来から申し上げておりますように、地域の住民の皆さんに疑問を抱かせ不安を与えてしまったこと、あるいは関係機関との連絡調整が不十分であったことについては反省点が認められるということだと思います。この点については、既に上級庁からいろいろな形での指導が行われているということでございます。
 例えば、五月九日には、仙台高等検察庁の検事長から福島地検の検事正に対して、関係機関や上級庁との緊密な連絡調整に努め、対処に万全を尽くすように指導をしたところでございますし、この問題を踏まえて、私自身も、検察長官会同において訓示でも述べさせていただきました。昨日も、検察長官会同での会合の場面でも、国会でこういう厳しい指摘もされているということをしっかりと認識をした運営を努めてほしいということについても申し上げさせていただいたということでございます。
○森まさこ君 大臣がお話しになった訓示というものを今言っていただけますか。
○国務大臣(平岡秀夫君) 九月の二十八日の検察長官会同におきましての私の訓示でございますけれども、これは私が、何の事情だったかちょっと記憶にはないところなんですけれども、何らかの事情で出席ができておりません。滝法務副大臣の方から代読するという形で行わさせていただきました。
 本年三月十一日、我が国は東日本大震災に見舞われました。現在、国を挙げて一日も早い復旧復興に努めているところですが、そのためには、国民が安心して安全に生活できることが大前提となります。検察においては、震災後の混乱に乗ずるような犯罪については厳正に対処するとともに、今回の経験を生かし、非常時の危機管理に万全を期していただくようお願いいたしますということで述べさせていただいているところでございます。
○森まさこ君 いや、大臣、今のは、訓示をされましたというので念のためと思って読んでいただいたんですが、それじゃ全然現場の方、分かりませんよ。地検が場所を移してしまう、避難地域でないのに移してしまった、その前に十二人も釈放してしまった、釈放した中から再犯者も出たということ、全く伝わってないですよね。
 もし、これ今後ほかの地域で同じ状況が起きたらどうするんですか。私は大臣からきちっと書面で通達なり出していただきたいと思うんですけれども、いかがですか

○国務大臣(平岡秀夫君) この委員会でもるる議論がされています。どういうところに問題があったのか、反省すべき点はどこなのか、そして委員の方々からもどういう指摘があったのか、この点についてはしっかりと文書で通知をしていきたいというふうに思います。
○森まさこ君 文書で通知をしていただけるという御答弁を得ましたけれども、是非、今みたいなもう抽象的な、緊急時の状況においては厳正にしますみたいなことのないように、具体的に指示をしていただきたいと思います。

第180回国会 参議院 法務委員会 第1号 平成24年2月23日

 二日目は、福島県に移動し、まず、福島地方裁判所を訪問して、同裁判所のほか、福島家庭裁判所及び福島地方検察庁から説明を聴取いたしました。
 裁判所からは、福島地家裁管内の裁判所の被災及び復旧・復興状況等の概況説明に加え、震災後にいわき支部を一時閉庁したことについて、「今にして思えば、当時の判断は正確な情報に基づく判断ではなかったと深く反省している。地域住民のニーズに応えるべき裁判所が、生活している住民がいる中で、業務を一時的に停止したことに対する批判は、真摯に受け止めなければならないと思っている」との旨が述べられました。なお、一日目に説明を聴取した仙台高裁からも同様の趣旨が述べられましたので、申し添えます。
 検察庁からは、管内の検察庁の被災及び復旧・復興状況等の概況説明に加え、震災後にいわき支部を一時閉庁したことについて、「被災地の法秩序を維持し、住民の安全・安心を守るべき検察として申し訳なく思っている」、また震災後に福島地検管内で勾留中の被疑者三十一名を釈放したことについては、「県警との連絡調整が不十分であったことに反省すべき点があった上、釈放した者の中に再犯に及んだ者がおり、管内の住民に不安を与える結果となったことは、申し訳なく思っている」との旨が述べられました。なお、一日目に説明を聴取した仙台高検からも同様の趣旨が述べられましたので、申し添えます。

第180回国会 参議院 法務委員会 第4号 平成24年3月22日

○森まさこ君 私はこの法務委員会で何回も質問をさせていただいて、今日も質問をさせていただきたいと思っておりますが、毎回答弁が曖昧なので、最後まで私、追及したいと思っているのは、被災直後に、原発爆発直後に、避難地域にも指定もされていない相馬市、いわき市、これは浜通りでございます、津波の被害もございます、そういう地域から検察と裁判所がいち早く逃げたという問題なんです。これに対して何回も質問していますが、納得のできる御答弁をいただいておりません。
 そのように、この原発地域に隣接した浜通り地方が国家機関たる裁判所にも見放されておきながら、同じ法務大臣の下で、法テラスもまだ出張所がつくっていただいていない。法的なサービスのニーズは物すごく高いんですよ。津波の被害だけでなく、原発の損害賠償請求問題もあるんです。何で一年間、法テラスの出張所をつくらなかったんですか。

○国務大臣(小川敏夫君) 決してつくらないという方針で動いていたのではなくて、つくるための関係機関との協議、これがまとまらず、現在まで残念ながら設置するということには至っていないということでございます。
○森まさこ君 関係機関との協議がまとまらないのはリーダーシップがないからじゃないですか。でも、宮城と岩手は関係機関の協議がまとまっているんでしょう。何でそれを、必要な法的サービスがある、国民の目線に立って、国民生活のために、関係機関がごちゃごちゃ言っていてもまとめて、法務大臣がつくらないんですか。こういうことを質問したかったのに、法務大臣が就任してから二か月も所信に対する質問もさせてもらっていないんですよ。その間、自殺者も出ているんです。
 私は、この問題がこの法務省所管の問題だけじゃないから大変怒っているんです。民主党政権、野田政権の下で、福島県の被災の状況は全く良くなっていません。岩手、宮城と比べていつもいつも後回しなんです。
 申し訳ないんですけれども、今の答弁納得できていないので、ほかの事例を挙げさせていただきますけれども、汚染稲わら事件というのがありました。農水省の所管でしょう、それはそうでしょう。だけれども、あの汚染稲わら、どうなっていると思いますか。一年たって、まだそこにあるんですよ。六十万ベクレル・パー・キログラム、何という数字ですか。それを何でそのままそこに置きっ放しなんですか。幼稚園の女の子がいるお宅のお庭ですよ。
 その汚染稲わらを食べた牛、その牛は屠殺も禁止されています。農家の牛舎で飼っているんです。廃用牛といって、売ることもできない、殺すこともできない、餌食べるだけ、そこから出てくるふん尿、これも高い汚染されている。この牛、岩手県、宮城県はさっさと国が公用牧場に集約して管理しているじゃないですか。福島県だけそのままですよ。それのことについて政府に聞くと、こう言うんですよ、福島県だけ後回しにしているわけじゃない、いろいろな協議が時間が掛かるんです、被害が甚大だからできないんです。被害が甚大なところからやってくれないと困るんですよ。私は、この農水の問題だけでなく、法務の問題だけでなく、全ての問題が同じような状況だから、今日は非常に強く主張させていただきました。
 法務大臣、法テラスの出張所について、いち早く福島県の必要な地域に設置することを、その決意をお述べいただきたいと思います。

○国務大臣(小川敏夫君) 当然のことながら、福島県にもやはり法テラスを十分県民の方が利用できるよう整えるということは、これは当然のことでございます。その運営に当たって必要な弁護士会との協議、こうしたものを積極的に進めて、なるべく早く設置できるように努力したいと思います。
○森まさこ君 先ほど私が言いました戸籍の整備、それから土地の再生等についてはどのようにお考えですか。
○国務大臣(小川敏夫君) 戸籍の整備の方は、市役所と、あるいは町だったかな、戸籍が流失した部分がございましたが、これは法務局にありました副本等あるいはデータ等で復元作業は終わっております。
 また、土地の問題につきましては、やはり相当広範囲に移動していると言われている部分もございます。そんな簡単にすっとできるような部分じゃないものがございますので、よくその地籍の調査等、土地の移動の状況等を十分広範囲に把握して、間違いがないように臨みたいと思っておりますが、いずれにしても、技術的な面も含めて可能な限り速やかに進めたいと、このように思っております。
○森まさこ君 それでは次に、福島地検が震災直後、三月に原発が爆発した直後、退避した問題について質問をさせていただきます。
 この問題については、私、何度もこちらの委員会で、大臣が何回も替わりましたけれども、質問をさせていただいております。前の大臣の平岡大臣にも二回質問させていただきましたけれども、平岡大臣が大変不誠実な答弁をなさいました。
 このことについては、このことというのは福島地検の相馬支部といわき支部ですけれども、原発が爆発した後、国から避難地域に指定されてないのに、そこに住民が住んでいるのに勾留中の被疑者を十人以上処分保留のまま釈放し、郡山という大変遠く、当時ガソリンがなかったので実質上行けない場所にまで避難をし、その結果、釈放された被疑者が再犯を犯したと、そういう問題でございますが、これに対して平岡大臣が、その問題については自分がもう訓示をしたから大丈夫だというふうにおっしゃいました。その訓示の内容というのはどういうものですか。

○国務大臣(小川敏夫君) 平岡前法務大臣は、昨年九月の検察長官会同におきまして、全国の幹部検察官に対し、検察においては、震災後の混乱に乗じるような犯罪については厳正に対処するとともに、今回の経験を生かし、非常時の危機管理に万全を期するように訓示したところでございます。
○森まさこ君 私、それ、紙でいただいたんですよ。検察長官会同という会議で、全国の検察長官が集まる会議ですね。これが一年に一回か二回開かれているということです。その平成二十三年九月二十八日の会議で今大臣がおっしゃったように述べているんですが、その中のどこに、この福島県の相馬支部といわき支部が、原発の爆発後、避難地域でないのに避難をしたと、今後はそのようなことがないようにということがどこに書かれているんですか。
○国務大臣(小川敏夫君) 確かに検察庁が先に閉庁したということ、これにつきましては大変に国民の理解を到底得られないことであるということで、深く反省しております。これはもう既に私からも述べてあるところでございます。
 そうした中で、この訓示のどこかということは、具体的には書いてございませんが、この非常時の危機管理に万全を期するようと、この総論的な言葉の中にそれも含んでいるものと考えております。
○森まさこ君 大臣、本当にそれでいいと思うんですか。この訓示は何のためにしたんですか。
○国務大臣(小川敏夫君) 今回、今委員が御指摘になったいわき支部の閉庁等も含めて、あるいは容疑者の釈放につきましても、関係官庁との連絡が不十分であるとか、そうした反省点がございました。そうしたことも踏まえて、今後、非常事態の場合の危機管理については、そうした一つの事例を踏まえて万全を期すようにということでございます。
○森まさこ君 記録に残さないようにという、究極の隠蔽体質の表れだと思いますけれども、大臣、この訓示を後から入ってきた検事さんが読んで、非常時の危機管理に万全を期すように、まあ当たり前のことだなと思って、それで終わりなんじゃないですか。あの福島原発の爆発のときに、ああ、うちの検察が住民を置いて逃げて、そのときに被疑者を町の中に逃がして、その人がまた犯罪を犯すなんていうことをしてしまったんだな、そのことはもう大変遺憾なことで、反省をして、もう二度と起こさないというふうに大臣から訓示があったんだなということ、分かりますか、これ読んで。
○国務大臣(小川敏夫君) そうした出来事があった直後の会同でございますので、訓示を受けた方はそうしたことを踏まえての訓示だなと理解しているものと思っております。
 そして現実に、検察長官が会同で集まりましたその後、それぞれの勤務地に戻るわけでございますが、そうした趣旨で訓示が各検察庁において徹底されているものと考えております。
○森まさこ君 大臣の答弁は一々納得できません。だって、これを言われてあの事件のことを思い出す人いませんよ。そして、これをいただいて、検察長官が各地に戻って自分の検察庁で訓示をしたって、何にも伝わらないじゃないですか、現場の検事に何にも伝わらないじゃないですか。
 どうやって現場の検事に周知しているんですか。

○国務大臣(小川敏夫君) 具体的には、この参議院予算委員会におきまして森委員から具体的な指摘をいただいたわけでございます。その議事録を付けまして、各検察庁の方にこれを、こうした予算委員会で指摘があったということの内容が分かるようにして訓示して、それを下に徹底させたわけでございます。議事録が付けてございますので、委員の御指摘事項は全て理解されているものと承知しております。
○森まさこ君 大変ずるいやり方ですね。自分たちの役所の文書には載せない。私が質問として言った議事録だけ載せていますから、後世には残りませんよ、記録が。議事録で、野党の議員が質問しただけじゃないですか。どうしてこれ記録に残さないんですか、どうして現場の検事に周知しないんですか。私はそういうやり方が、本当に被災地のことを思ってやっているのか、反省しているのか、心の底からもう不信感でいっぱいでございます。

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