陰謀説!ビル・ゲイツが新型コロナを予言する動画?→実際に起きたパンデミックを語っただけ【マガジン74号】
新型コロナウイルス(COVID-19)の猛威。2019年末には中国のローカルな話題であった未知の感染症は、2020年に入って一気に拡大し世界中をパニックに陥れた。そしてそれは今も継続している。
12日、菅義偉総理大臣がマイクロソフトの共同創業者で元会長のビル・ゲイツ氏と電話会談したことで一部で再燃している「陰謀説」がある。この春にも堂々と東京新聞に掲載された話であるが、ビル・ゲイツ氏が2015年には新型コロナウイルスによるパンデミックを予言していたというものだ。
新聞社が軽々しく「予言」などという言葉を使うのは如何なものかと思うが、この予言とやらを基に、感染源となった中国との関係を指摘する陰謀説や、ワクチンなどで大金を得ようとしているという噂はネット上に無数に存在する。
ビル・ゲイツの予言、誰でも予測できる
まず陰謀説の厄介なところは「事実がベースになっている」という点です。今回のビル・ゲイツ陰謀説に関していえば、事実として2015年にパンデミックに言及しているし、20年以上前から中国に投資を行い中国科学技術部とビル・ゲイツ財団はここ10年で関係を深化させている。
一方で「予言」に関していえば、完全な錯覚である。少し冷静になって考えれば誰でも予想できることで、米ソ冷戦終結から30年以上も経ち、世界の脅威は核戦争への不安から未知のウイルスなどによるパンデミックに移行していることはビル・ゲイツでなくとも多くの著名人が語ってきたことだ。
また、未知のウイルスだけでなく兵器としても核から生物化学兵器使用への懸念が高まっている。ビル・ゲイツの予言とされるものは2017年にも出ており、その中では未知のウイルスというよりも「バイオテロ」の脅威を上げていることから、予言ではなく世界情勢の「予測」であることがわかる。
予言ではなくエボラとMERS
ビル・ゲイツ氏が2015年に未知のウイルスを「予言」したとされていることにスポットを当ててみよう。実際に2015年5月にTEDでかなり具体的に語っているのだが、それもそのはずで2014年に南アフリカで起きたエボラ出血熱のアウトブレイクについて語った回だからだ。このことはTEDの説明にも書かれている。また、2012年にロンドンで確認されたMERSコロナウイルスによって引き起こされる中東呼吸器症候群が2014年から2015年にかけて中東地域から韓国・中国に飛び火している。ビル・ゲイツ氏がTEDで未知のウイルスによる脅威を語ったのはこの同時期であり、予言でも予想でもなく現実に世界で起きていることを直視して、これからも同じことが起きると言っているのだ。
このように、陰謀説は実際に存在するものや事実をベースに語られているのだ。
ローマ教皇は知っていたのか?