朝日新聞・峯村記者の処分、週刊ダイヤモンド側の対応は正しかったのか?なぜペンで戦わないのか?【マガジン167号】

KSLマガジン



 朝日新聞の峯村健司記者が、安倍晋三元総理からの依頼で週刊ダイヤモンドのインタビュー記事を公表前に見せるように要求したとして停職1カ月の懲戒処分を受けた問題。
参考:朝日新聞社編集委員の処分決定 「報道倫理に反する」 公表前の誌面要求:朝日新聞デジタル

 峯村記者は4月20日で朝日新聞を退社することが決まっていたが、退職の2週間前に編集委員の職を解き停職となったことは、峯村記者の今後の活動を妨害する目的も感じられ、峯村記者のnoteによると複数の転職先に処分の事前通知を行っていたという。

 一方で、峯村記者の行動だけを切り出してみれば、やはり倫理的に非難されるべきものだったのかもしれない。週刊ダイヤモンドの副編集長が知人であったことで、誤報を未然に防ぐために連絡して記事の確認を求めたところまでは大きな問題があったとは思えないが、原稿チェックを求めるにあたって「全ての顧問を引き受けている」と安倍元総理からの依頼を強調したのはマズかった。

 これが安倍元総理以外の野党幹部などの名前であったら、ここまで騒ぎも大きくならず処分も違ったのではないかという気はする。事実として筆者の取材に対しても、掲載内容と範囲を指定してきた野党議員もいる。無論、お断りしたが、これは慣例的に行われているインタビュー記事の事前チェックとはわけが違い、明確な圧力だったと受け取っている。

週刊ダイヤモンドの姿勢も問われる

 さて、峯村記者の問題ばかりがクローズアップされているが、週刊ダイヤモンドの行動はジャーナリズムに照らし合わせて適切なものだったのだろうか?

 峯村記者から不適切な要求をされたと感じたのなら、断固拒否して原稿を通せばよかったのに、ちゃっかり安倍元総理に連絡して原稿を修正しているではないか。さらに、週刊ダイヤモンド側からの抗議声明を出す前に、これを朝日新聞社に通知して処分を待っていたのは情けない。ペンで勝負することもなく、相手側の"上"にタレこんで助けてもらうのはかっこの良いことではない。

 週刊ダイヤモンドは峯村記者に対する抗議を自社では公表せずペンで戦うこともなく、朝日新聞にすべての対応を任せた時点でジャーナリズムとして敗北している。朝日新聞の子会社ではあるまいに。

 週刊ダイヤモンドの問題点は他にもある。編集権を主張する背景には編集長がすべての責任を負うという鉄則があるのだが、編集長のコメントはなぜか朝日新聞デジタルに掲載されているのだ。朝日新聞記者からの指摘で誤報に気が付き原稿を修正し、非公開で朝日新聞に抗議して処分を待って、声明まで朝日新聞任せ。編集権がどうとか言えたレベルではないだろう。また、週刊ダイヤモンドはいとも簡単に取材過程を他社に告げてしまう媒体なんだなと。

 そもそも知人記者から個人的に頼まれたくらいで、編集権のどのあたりが侵害されたのか甚だ疑問だ。峯村記者を許せないなら週刊ダイヤモンドでぶっ叩けばいいだろう。

報道への圧力は野党が酷い

 この峯村記者の問題を批判している野党議員がいるようだが、普段から自分たちが報道に対してどのように振舞っているか考えた方がいいだろう。


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【運営・執筆】竹本てつじ【転載について

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