国民民主党が直面する理想と現実の乖離 内閣不信任案賛成に見る内向きな体質【マガジン226号】

KSLマガジン



 国民民主党が令和5年度の補正予算に賛成してまで与党との3党協議を求めていた「ガソリン税」を一時的に下げるトリガー条項凍結解除がご破算になりそうだ。内閣不信任決議案に国民民主党が賛成したことで与党側が難色を示したのが原因であるが、これに対して玉木雄一郎代表は「協議することは一国の首相が明言した話だ。速やかに前向きな協議ができる態勢を整えて再開してもらいたい」と訴えている。
参考:トリガー条項3党協議、国民民主・玉木代表「速やかに再開を」…協議停滞で協力関係の見直し示唆 : 読売新聞

 同党の舟山康江参議院会長は「国民民主党のトリガー条項凍結解除要求は、国民生活と経済を守るためのものであり、与党の不祥事まで容認するものではない。」として、トリガー解除と内閣不信任案を別と見る考えを示しているが、ここにこの党の甘さと理想ばかりを追う体質が現れている。

宣戦布告しておいて交渉?

 この玉木代表と舟山氏の理屈が通るなら、補正予算にも反対すればよかった。単純な是々非々ではトリガー凍結解除が協議できないことが分かっていたから、結果的に前原氏らの離党分裂の理由にまでされた補正予算への賛成を選んだのではないか。
 これが内閣不信任案への賛成となると、自ら交渉の終結を叩きつけたに等しいことが理解できないなら認識が甘いとしか言いようがない。内閣不信任案は内閣総辞職だけでなく、事と次第によっては衆議院を解散し国民の信を問うことになるのに、なぜ3党協議など継続できると思ったのだろうか。国会議員の地位まで争う宣戦布告をされて呑気に交渉をする馬鹿はいない。

 相次ぐ与党の不祥事を容認できないという気持ちも理解できるが、それを内閣不信任決議案賛成という全否定で意思を示す必要はあったのだろうか。内閣不信任決議案に反対したとしても、与党に対して猛省と改善を求めることはできたはずで、これこそトリガー凍結解除の交渉を有利にするチャンスだったのではないか。

 批判を浴びてでも内閣不信任決議案には反対し、トリガー凍結解除を実現するのが筋だった。国民生活のためを思って始めたことが、党のメンツが優先されご破算になっては本末転倒だ。

致命的な内向き体質

 国民民主党がここまで甘っちょろい認識に陥った原因は「内向き体質」だろう。立憲民主党もこれが指摘されていたが、そういった路線と一線を画すために結党した国民民主党がそれに陥っているのだ。

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【運営・執筆】竹本てつじ【転載について

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