【北朝鮮による拉致問題】辻元清美・福島瑞穂に言い訳をさせるな!社民党見解と辻元発言の事実関係を精査する


 北朝鮮により拉致された横田めぐみさんの父・横田滋さんが6月5日に老衰のため亡くなった。
 多くのひとが拉致被害者全員奪還への決意を新たにした一方で、これまで奪還に消極的だった政治家や北朝鮮批判をタブーとしてきたメディアへの怒りが再燃している。愛する子供を北朝鮮に奪われたまま亡くなった方々の無念を考えれば当然の怒りである。

 特に社民党は、拉致被害者の悲痛な訴えに答えようともせず、2002年の小泉訪朝で金正日が拉致を認め謝罪するまで延々と北朝鮮を擁護していただけに、その怒りの矛先となっている。無論、筆者も社民党を絶対に許すことはできず、説明責任を果たさない福島瑞穂議員や辻元清美議員への憤りは強い。

 しかし、その社民党を批判するにあたって事実に基づかないデマは辻元氏や福島氏に利する行為であり、逆に被害者のポジションを与える愚行である。自称・政治ニュースサイトの「政治知新」などは、そのデマ攻撃の最たるもので15日に配信した記事もデマのオンパレードである。
参考:横田滋さんの追悼コメントも炎上する社民党党首。社民党の過去を考えれば当然。北朝鮮の拉致を否定し、日本を洗脳しようとした社民党の過去 – 政治知新

 福島、辻元両議員に被害者ポジションを取らせないためにも、誤った記述について解説する。

北川論文と拉致を認めた時期

 政治知新がデタラメな記事を書くことは説明不要だと思うが、度重なるデマ攻撃は野党批判を封じ込めたい議員の格好のターゲットとして国会でも複数回取り上げられている。

 今回の拉致問題でもデマを堂々と掲載している。
 特にデマがふんだんに詰め込まれた部分が以下の一節だ。

かつて社会党で女性初の党幹部となった土井たか⼦⽒は、「拉致はない」と拉致問題を批判していた。当時の北朝鮮も「拉致は捏造」と主張していた。
しかも、これは⼟井⽒の個⼈的意⾒ではない。当時の社⺠党は、⾦⽇⽒が拉致問題を認めるまで、北朝鮮の主張をそのまま訴えていた。以下は、当時のその公式⾒解である。

 まず、土井たか子氏は社会党で初の女性幹部ではない。土井氏が副委員長に抜擢されたのは田中寿美子氏の後任という扱いであり、女性初の幹部はこの田中寿美子氏である。初の女性党首となったのは社会党だけでなく憲政史上初である。

 さらに「⾦⽇⽒が拉致問題を認めるまで、北朝鮮の主張をそのまま訴えていた」というのは誤りで、後述するが辻元清美議員でさえ小泉訪朝の前年にインタビューで北朝鮮の拉致であることを否定しない回答をしている。

 社民党が北朝鮮による拉致を否定していた時期があるのは事実であるが、1994年に米クリントン政権で北朝鮮の核開発疑惑が問題となり、査察に応じない北への空爆まで検討された。さらにテポドンの実験などで北朝鮮が「危険な国」と認知され、その後のブッシュ政権では同時多発テロを契機にテロとの戦いが叫ばれ「ならずもの国家」に北朝鮮が含まれていることはメディアでも躊躇なく流されるようになる。
 同時期に発足した小泉政権では拉致問題への取り組みが活発となり、前述の北朝鮮の核開発疑惑やミサイル開発も相まって社民党でも擁護が苦しくなっていく。それでも党内の一部では北朝鮮による拉致を「でっちあげ」と主張するものが2002年の小泉訪朝まで跋扈していた。
 小泉訪朝で金正日が認めるまでの公式見解で「拉致はない」とした記録は見当たらないが、党内外で「拉致はなかった」または「拉致はあったが北朝鮮ではない」などと発言するものがいる一方で、党として明確に北朝鮮を非難する態度を取らない卑怯な対応をしていたのだ。

 また、政治知新が党の公式見解として示しているのは党の中央機関紙である「社会新報」に掲載された北川論文であり発表は1997年である。5年後の小泉訪朝でこれが問題視されたのは、北朝鮮による拉致が濃厚となり事実として周知され始めても撤回せず掲載を続けたことだ。
 小泉訪朝後も論文が掲載されていることへの抗議が社民党に殺到し渋々削除をしたが、この一連の党の拉致問題への対応のまずさに激怒した田島陽子氏が離党を発表したことで社民党はさらに窮地に追い込まれる。当時幹事長だった福島瑞穂氏は会見で「当の見解ではなく個人論文」と釈明したが、土井たか子党首は対北朝鮮の姿勢について「対応が不十分だった」と謝罪をした。

 よって、あの論文を「当時のその公式⾒解である」と紹介するのは間違っている。個人論文とは言え拉致問題をでっち上げとする内容をホームページに掲載し続けたことが批判されたのである。ここは福島瑞穂氏の言い訳を許さないためにも「北川論文を党が認めていた」とするべきだろう。北川論文であることを隠して「党の公式見解である」と掲載するのは相手に反論の余地を与えてしまう。

 余談であるが、忌々しい北川論文に拾ってきためぐみさんの画像を挿し込む演出はやめてほしい。

辻元発言「帰ってこないのは当然!」はデマ

 ちょっと、この部分は物書きとしてあるまじき行為なのだが、ネットで拾った画像を基に、辻元清美議員の発言とされる内容を出典もなく堂々と掲載している。この画像は近年に捏造されたものだ。

⼟井たか⼦⽒の影響を強く受けていた、現在⽴憲⺠主党の辻元清美⽒も「北朝鮮拉致被害者が帰ってこないのは当然︕北朝鮮には、補償を何もしてないのに、『9⼈、10⼈返せ︕』ばかり⾔ってもフェアじゃない︕」と発⾔していた。

 まるで自由報道協会で会見をした際に言い放ったかのようにテロップを付けられているが、辻元氏が2011年発足の同協会でこの発言をしたという事実はない。

 画像が捏造されたものと知ってガッカリする人もいるかもしれないが、それは早計だ。このネタ元を調べたところ、実際はもっと酷い内容を発言をしている。場所は自由報道協会(2011年発足)ではなくウェブメディアのインタビューで魚拓も残っている。発言の時期は2001年であり、小泉訪朝より前に北朝鮮による犯行と認識していた記録でもある。
(時期の特定は、社民党のパキスタン訪問の議事録を確認)

出典:Special 01/Nov. | GIRLS BE POLITICAL! 1-1 (魚拓)Special 01/Nov. | GIRLS BE POLITICAL! 1-1 (魚拓)
こういうことを弱腰だと言う人に言いたいのは、「声高に非難して帰ってくるんですか、道が開けるんですか?」ということ。国交正常化の中では、戦後補償が出てくるでしょう。日本は、かつて朝鮮半島を植民地にして言葉まで奪ったことに対して、北朝鮮には補償を何もしていないのだから、あたりまえの話です。そのこととセットにせずに、「9人、10人返せ!」ばかり言ってもフェアじゃないと思います。

 辻元氏が「当たり前」と発言したのは拉致被害者が帰ってこないことに対してではなく、北朝鮮に対する戦後補償をすることに対してだ。この発言を組み替えて件の画像が捏造されたのだ。しかも時期を2001年以降に見せかけて悪質性を強調しようとしている。

 いずれにしても最悪の発言で、辻元氏は拉致被害者を人質にとって金を引き出す側の立場でものを言っている。そのまま読めば、如何に辻元氏が悪質かわかるのだが、発言の対象と場所を捏造すれば辻元氏ホームページにある「ネットのデマ」コーナーに言い訳とともに掲載されかねない。
 特に発言の時期については小泉訪朝前に社民党が拉致を認め開き直っていたという重要な証拠であり、辻元憎しでここを捏造するのはむしろ相手に利する行為である。

まとめ 書くなら取材・調査をしろ

 拉致問題に関しては一般人に高度な分析や見解を求めるのは間違いで「北朝鮮に誘拐された」「家族が救出を訴えている」という基本的なことをしっかり認識してもらうことが重要だ。ハードルを上げていては国民運動として広がらない。

 一方で、我々伝える側の人間は詳細に調査して情報は精査しなければならない。事実を積み重ね、拉致問題解決を阻害した勢力に言い訳のチャンスを与えないためだ。そして、より詳しく拉致問題を伝えることで活動に参加する人が増えればよいと願っている。

 政治知新のように、ネットで拾った画像を根拠に拉致問題に関する記事を書かれるのは迷惑でしかない。そもそも政治の基本的な知識もないのに無知な人を騙し、専門サイトを装っているのは腹立たしい。
 嬉々として政治知新をシェアしている人は考え直すべきだ。

関連:辻元清美、横田滋さんの訃報を無視→ならば20年前の発言全文を公開しよう「戦後補償もないのに9人、10人返せ!ばかり言ってフェアじゃない」
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