検証!巨大イナゴの大群が中国を襲う?→アノニマスポストが中国情報と放射能デマ屋に釣られ拡散
東アフリカで大量に発生したバッタが中国に迫っているという情報が流れている。大量発生したバッタが移動する動画が出回っているが撮影場所や時期が不明であり、そもそも東アフリカで発生しているサバクトビバッタの群れはイラン高原とヒマラヤを越えられないそうだ。
参考:イナゴの群れが中国に到達! というクソみたいなデマが流れていたので、バッタの進行の見方を解説する: 現在位置を確認します。
新型コロナウイルスで窮地に立つ中国を襲えば甚大な被害を及ぼすことが予想されるが、それを嬉々として伝えるのが悪名高きデマサイト「アノニマスポスト」である。
イナゴの大群、ついに中国へ 中国当局、国家指揮チームと対策専門家チームを設立〜ネットの反応「中国共産党終わりの仕上げ段階かな」「まさか…日本へは来ないよな?」 https://t.co/TpWiXtamCy
— 拡散新聞 |時事ニュースとネットの反応 (@anonymous_post2) March 3, 2020
デマのは震源は有名な「放射能デマ屋」か?
中国にサバクトビバッタが襲来することはありえないそうだが、2005年に海南島を別種のバッタが襲っておりまったく被害の可能性がないわけではない。過去の被害から警戒する動きはあるがネットで出回っている「対策としてアヒル10万羽をパキスタンに送った」などの情報も疑わしいとされている。
参考:バッタの襲来に備えて、中国が10万羽の「アヒル軍」をパキスタンに派遣するというニュースは本当なのか?(中国) : カラパイア
アノニマスポストの情報源の多くは海外情報であり、真偽不明の情報やプロパガンダも気が付かず垂れ流し続けている。今回の情報源となった「大紀元」は中国共産党に批判的な媒体であるが、それ故に情報を盛って大袈裟に報じる傾向もある。
また、アノニマスポストは保守層向けのサイトとされるが「放射能デマ」を拡散するアカウントの情報も採用しているようで、今回使用した写真も悪質なデマ屋が投稿したものを使っている。
無関係の写真で不安を煽る
アノニマスポストが冒頭と本文中で使っている巨大バッタの写真は、東アフリカの個体でも中国の個体でもない全くの別種で、巨大な個体写真を使うことで不安を煽っている。
写真の個体はおそらく中南米に生息するTropidacris属の一種と思われ、最大で20センチを超える種だ。一方、東アフリカで発生しているサバクトビバッタは5センチ程度で日本で見られるトノサマバッタと同じ程度だ。(イナゴではない種も大量発生するバッタを日本ではそう呼ぶことがある)
この写真はネットで検索すれば大量にヒットするが、検索結果画面をスクリーンショットしたものと見られ、以下の有名な放射能デマ屋から拝借したもので間違いないだろう。
アフリカで発生した巨大なバッタ―は4000億 ケニアなどの農作物を食いつくし中東からパキスタンの農作物を襲っている。その40%が壊滅的である。すでにインドでは大群でインド兵70万人が撤退、インド、アジアでは繁殖期を迎える。これが合流すれ300兆の巨大なバッタですが中国の作物を食いつくすのだ。 pic.twitter.com/YSRnSTRwjJ
— 中村 臣市郎 (@coXpAFm1VBN283t) February 25, 2020
このデマ屋は過去に「放射能の影響で奇形となった個体が日本の寿司チェーン店に出回った」というデマをトリック写真とともに投稿して問題になった人物である。
クリックで拡大
参考:風評被害煽る放射能デマ「放射能で奇形魚、回転寿司が買っている」→海外のフェイク画像とバレて謝罪
さらにこの人物は他にもデマを多数投稿しており「白血病患者が激増」という投稿に室井佑月が釣られて拡散し謝罪に追い込まれたことがある。
参考:風評被害の常習!奇形魚デマの中村臣市郎がまた放射能デマ、拡散した室井佑月はリツイートを取り消し謝罪
アノニマスポストは保守系に人気のサイトであるが、その実態は他国のプロパガンダや放射能デマ屋に釣られ、知らぬうちに拡散媒体として利用されているのだ。
関連:フェイクニュース「武漢から日本への入国に成功した中国人」→武漢ではなく広東省在住、アノニマスポストが創作
関連:大阪W選挙でフェイクニュース「小西候補が背を向けて頬杖をつく」←モニターを覗き込んだ瞬間を切り取り