安田菜津紀「阪神大震災、在日コリアンは殺されると思ったと聞いた」→当時の被災者が否定→ブロック

政治・社会

 TBS「サンデーモーニング」出演などで知られるフォトジャーナリストの安田菜津紀氏が、阪神・淡路大震災から26年となる1月17日に投稿した内容に疑義が生じている。

 安田氏は、震災の後に聞いた話として「阪神・淡路大震災が起きた時、とっさに「殺されるかもしれない」と思ったことを、随分後になって在日コリアンの方に聴いた」とツイッターに投稿したが、当時、神戸で被災した方などから「聞いたことがない」「総連も民団もみんなに物資を配った」と批判が殺到している。安田氏は意見を寄せた被災者のアカウントを片っ端からブロックしているという。


被災者は一様に否定するもブロック

 安田氏は1987年生まれで阪神・淡路大震災の当時は小学生だ。どの時点で聞いた話かは不明だが、少なくとも当時を知る被災者は一様にこれを否定している。安田氏は、在日コリアンと日本人を分断しないで欲しいとコメントを寄せた多くのアカウントをブロックしているようだが、これでは差別を助長しているのは安田氏の方ではないか。

 震災当時、在日コリアンも日本人も関係なく共に助け合い支援をしたことは民団新聞などの記事でも紹介されている。また、朝鮮学校に避難した日本人もいるが、そこに国籍や民族の区別は無かった。

 残念ながら安田氏の投稿は事実に反するものと判断せざるを得ない。おそらく、震災から5年後の200年4月に当時の石原慎太郎都知事が自衛隊練間駐屯地での記念式典で行った、いわゆる「三国人発言」以降に作られた話か、記憶のすり替えによるものと思われる。

三国人、外国人が凶悪な犯罪を繰り返しており、大きな災害では騒擾事件すら想定される。警察の力に限りがあるので、みなさんに出動していただき、治安の維持も大きな目的として遂行してほしい

 この発言以降、関東大震災での流言飛語などが再度クローズアップされたが、阪神・淡路大震災はこの発言より5年も前である。

寅さんのラストは在日コリアンとの交流

 在日コリアンとの交流を示すエピソードしては俳優の渥美清さんの遺作となった「男はつらいよ 寅次郎紅の花」のシーンが有名だ。仮設住宅が並ぶ被災地で在日コリアンが華やかに踊る姿が映し出され、これが映画のラストシーンとなっている。急遽、被災地にロケ隊が入り寅さんが久しぶりに長田に現れるシーンであり、山田洋二監督が地元の人に「踊りかなんか踊るってのはできませんか」と尋ねたら「一番華やかなのは在日コリアンの人たち」と紹介された経緯がある。

特別インタビュー 映画監督 山田 洋次さん|国連UNHCR協会
48作目のラストシーンは復興がかなり形をなしてきた長田に、久しぶりに寅が現れたっていうところで終わりになってる。寅が「やあ、元気だったか。良かった良かった苦労したんだなあ、お前たち」と言いながらね。

まだまだ仮設住宅ばっかり並んでましたけども、その店の前でね、なんかこうにぎやかに終わりたいから、「踊りかなんか踊るってのはできませんか」って言ったんです。そうしたら長田の人たちが「いくらでもできますよ。いちばん華やかなのは、在日コリアンの人たちですね。その若者たちがお祭りの踊りを踊りましょう。民族衣装で踊るから華やかです」と。

で、本当にね、100人か200人の人たちが大勢集まってきてくれて。その伝統的な踊りを、太鼓をドーンドーンと叩きながら踊ってくれて。それをカメラがだんだんズームで引いていって大ロングになるところで、エンドマークが出るんですよ。

 これは被災地で在日コリアンが「普通」に共存し、互いに助け合っていたことを示すエピソードだ。

 安田氏はまだ33歳と若い。社会問題となっているヘイトスピーチを問題視するのは良いことだが、歴史も時系列も無視して、復興に向けて共に手を取り合った在日コリアンと日本人を分断するような投稿は控えてもらいたい。ジャーナリストとして事実関係を調べればこんなことにもならなかっただろう。

関連:川崎市ヘイト禁止条例で拉致問題ポスターが撤去された?→横田夫妻支援団体と市担当者「台風の影響で張替え作業中」
関連:東京朝鮮中高級学校「拉致問題いくらわめいても無駄」「生存者は見つからなかった、我々は答えを出した」

皆様の支援が必要です KSL-Live!からのお願い

【ご支援をお願いします】取材・調査・検証記事はコピペまとめサイトのような広告収入は期待できません。皆様からの支援が必要です。各種支援方法詳細

【運営・執筆】竹本てつじ【転載について

OFUSEで支援する

このサイトをフォローしよう