鈴木宗男の光と闇!自民党への復党でどうなる?ロシア・北朝鮮問題は進展か後退か?【KSLチャンネル】

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 鈴木宗男さんが自民党に復党し、7月の参院選全国比例で出馬することが決まりました。

 ロシアとの関係など不安要素は後ほど解説するとして、宗男さん復党の最大の目的は弱体化する党の体制を立て直すため、昭和の激動を経験している宗男さんの突破力と交渉力といったところでしょうか。

 一部では選挙対策との声もありますが、確かに北海道エリアの票はそれなりに動くでしょう。ただし、2019年の維新の全国比例ではダントツトップだったとはいえ、その票数は22万票しかなく、自民党では当選組の平均的得票なので比例票全体の底上げに貢献できるかと言えば微妙なところです。

選挙のお手本となるテクニック


 一方で、選挙戦での動きは全政治家のお手本となると言われ、伝統的などぶ板とひとりひとりとふれあい確実に1票ずつ積み上げていく様は圧巻です。宗男さんは1秒たりとも無駄にしない選挙戦略で、全国比例で戦った2019年の選挙では新幹線発車の時間を秒単位で確認しながら、駅周辺の有権者の手を握ってお願いをして回るわけです。それは有権者の求めに応じるというスタイルではなく、嫌われていても駆け寄って、手をがっちり握って相手の目を見て懇願するスタイルです。
 その様子をしばらく撮影していましたが、撮影している私の手も握ってお願いしてくるくらい徹底されています。最終的には「あと10秒はいける!」と数人の手を握って駅の改札に走ってましたが、何かの手違いで自動改札を通れず「あれ、おかしいな」と駅員のサポートを受けていましたが、新幹線に間に合ったのかは不明です。

ロシア擁護はパイプとして機能する?

 こういった選挙のノウハウよりも、多くの自民党支持者が不安に思っているのはロシアとの関係でしょう。維新と急接近したきかっけも、2019年に丸山穂高さんが北方領土のビザなし交流の訪問団で「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」と発言したことを問題視し、その後に維新幹部が、なぜかロシアに謝罪するという謎の対応を行ったところからです。
 もう何十年も前から親露派として有名だった宗男さんですが、ウクライナ侵攻後もロシア擁護の発言を繰り返し、最終的には国会に無断で渡航して維新を除名されるというロシア一色の政治家人生です。

 見方を変えれば、そんなことは自民党を離党する前から分かっていたことで、宗男さんもそれを隠そうともしていません。今回の復党においても全て分かったうえでのことでしょう。かといって懸念が払しょくされているわけでもないのが、支持者らを不安にさせているわけで、その不安は野党支持者らにも広がっています。
 今後はロシア寄りの発言が与党議員の発言として世界に伝わっていくわけで、これはもう自民党だけの問題ではありません。

 一方で、ウクライナを支援してロシアを批判しておけばどうにかなるという局面にもなく、イスラエルの暴走にアメリカの介入と、一方に軸足を置いてどっぷり浸かることへの懸念もある中で、ロシアとのパイプを確保しておきたいという思惑もあるでしょう。
 これがどっちに転ぶか予想もできませんが、どっちに転んでもロクなことにはならないという見方もできるので頭が痛いです。

対北朝鮮と拉致問題

 不安材料はロシアだけではありません。宗男さんは昔から北朝鮮に対する姿勢が融和的で、近年でも朝鮮総連の会合に出席しています。
2000年に拉致被害者家族が自民党本部前で座り込みの抗議をすることとなった、北朝鮮への米支援は記憶している方も多いでしょう。これは1998年に自民党外交部会で宗男さんがゴリ押ししたとされ、その時に高市早苗さんら拉致問題に熱心に取り組む議員らと激しく衝突したと言われています。

 拉致被害者家族の方々は、被害者の全員帰国が実現すれば、その後の北朝鮮支援には反対しないという方針に転換していますが、これが宗男さんの介入により解決前に支援して帰国交渉を行うという形にならないか心配です。こうなると間違いなく北朝鮮は、拉致被害者を小出しに帰国させながら、日本から金と食料を引き出すという手段に打って出るでしょう。これでは全員帰国は見込めませんし、被害者の親世代がご存命のうちの解決は絶望的です。

 ロシアにせよ北朝鮮にせよ、宗男さんが良い方向に導いてくれればいいのですが、これが少しでも悪い方向に進んだときは、不記載問題をはるかに超える自民党不信となることは覚悟しておいたほうがいいでしょう。

【運営・執筆】竹本てつじ【転載について
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